ドリブルをして足でボールを操って、中村くんに奪われないように、必死な望くんの姿にトクンと鼓動が高鳴る。
茜ちゃんとのことは、もちろん望くんにも気付かれていて。
「どうした?」と心配して声をかけてくれた望くん。一瞬、お昼に誘ってみようかとも考えたけど、「大丈夫」と答えて良かったと、ホッとする。
だって、私と一緒にいたら、きっと練習する時間がなくなっていたから……。
しばらくふたりの様子を見つめていたあたしだけど、フッと思いついて小走りで駆け出した。
部室を通り過ぎて、向かった先は体育館横の自動販売機。
お昼休みに入ってすぐは多くの人で溢れ返っているその場所は、もう既に落ち着いていて人の姿は少ない。
練習熱心なのはいいけど、ちゃんと水分補給しなきゃ熱中症になっちゃうもんね。
あたしはペットボトルのスポーツドリンクを2本購入して腕に抱えると、グラウンドへと戻ろうとした。そこに、
「ひめちゃん!」
再び走り出そうとしたあたしを、聞き慣れた声が呼び止めた。
振り返ってみれば、こっちに向かって駆け寄ってきたのは他でもない……隼人先輩。



