「いかにも彼氏います〜って感じが──」
「っ、茜ちゃんは悪くないのっ!」
クラスメートの言葉を遮るように、あたしは声を上げた。
咄嗟の行動で、声のボリュームはそこそこなもので、びっくりした様子の舞花ちゃんと二人がこっちを見る。
「あ、あの……」
あたしのことを気にかけてくれているのは、すごくすごくよく分かってるし、感謝している。でも……。
「本当に茜ちゃんは全然悪くなくて……。だから、茜ちゃんのこと悪く言うのは、やめてほしい」
場の雰囲気に怖気付いて、だんだんと小さく細くなる声。
こんなことを言ったら、あたしの方こそ嫌われてしまうかもしれない……けど。
「や、やだなぁ〜! 悪口とかそんなんじゃないよ! ね?」
「うん! うちらは姫乃さんのことが心配になっただけで!」
慌てて取り繕う姿に、ほんの少しホッとした。
あからさまに『何コイツ』みたいな態度を取られなくて良かった……。
「ありがとう……」