「坂井さんと喧嘩したの?」


お弁当を食べている途中、ドストレートに投げかけられた質問にドキッとする。

出来れば放っておいて欲しい。
だけど3日もこうしていたら、それは無理な話だろう。


「……」


気になってしまうのは無理もなくて、あたしは返事をしようとするけれど、開こうとした口を閉じた。


これは喧嘩……なのかな。


喧嘩っていうのは、何だか少し違う気がする。
だってあたしは、茜ちゃんに対して何も怒ったりしていない。

茜ちゃんの言ったことは、正しくて。
だからショックで、どうしたらいいのか分からなくて……。


「よく分かんないけどさ、姫乃さんは悪くないって」

「え?」

「坂井さんって、正直ちょっとキツイところがあると思ってたんだよね」


返事に困って黙っていると、突然そう切り出したクラスメート。
「確かに」と、舞花ちゃんとは別のもうひとりの女子も頷く。


「坂井さんって他校の男子と付き合ってるんだっけ?」


この流れはダメだ……と、ドクンと鼓動が大きく跳ねる。