『好き』より先に、キミの『彼女』になりました。



「……ごめんけど、今の菜子見てたらイライラする」


さっきまでとは全然違う。
眉間にシワを寄せ、告げられた言葉に耳を疑う。


「菜子が先輩のことをまだ好きなら、素直に先輩と付き合ったらいいと思う。でも、結城くんと付き合ってる今の状況で、どっちつかずな菜子見てるとイライラする」

「っ……」


“どっちつかず”

茜ちゃんの言うことは正しくて、だからこそ何も言えなくて、あたしはゆっくりと掴んでいた茜ちゃんの腕を離す。


「菜子はいいかもしれないけど、このままじゃ結城くんも先輩も傷つけるだけだよ。……ハッキリしなよ」


あくまで静かな声で、そして冷めた目をして言うと、茜ちゃんは踵を返して歩き出した。