『好き』より先に、キミの『彼女』になりました。



「はあ……やっと解放された」


遠ざかる女の子の姿に、大きなため息と共に呟いた先輩。


「あの、今の人って……」

「ああ、気付いてると思うけど元カノ。別れたんだけど、見ての通り結構しつこくてさ。今日も無理矢理……」


と、言いかけたところで、ハッとした先輩は喋るのを一旦止めた。そして、


「ありがとう。ひめちゃんがいて助かったよ」


「まさか、こんな偶然会うなんてな」と、苦笑する先輩。


「今日の部活のこともごめんね。実を言うとひめちゃんに、彼女のフリしてもらおうと思ってたんだ」

「え?」

「あらかじめ頼んでも断られると思ったから、部活に来たところを連れ去るつもりだったんだけど」

「つ、連れさ……!?」


思いもしなかった理由と言い方に驚く。
でも、そういうことならつまり、あたしは元カノさんとの縁を切るために、協力して欲しかっただけ……?

やっぱり本気であたしに気があるわけじゃないんじゃ……と、思ったのもつかの間。


「あ、でもさっきのは本当だよ。他に好きな子が出来たっていうのは」