『好き』より先に、キミの『彼女』になりました。


「はっ、はじめまして……」

「さっき言ったじゃん、他に好きな子が出来たって。この子、新しい彼女」

「へっ!?」


か、彼女……!?

お世話になってます、部活の後輩ですと挨拶しようとしたあたしを遮って、先輩が告げた言葉に目を丸くする。

そんな、驚いて口をパクパクさせるあたしに先輩は眉を下げ、お願いするようにウインクをした。


こ、これは口裏を合わせて欲しいってこと……だよね。


フリーならともかく、あたしは望くんと付き合っているわけで、嘘をつくことに少し躊躇する。でも……。

見るからに困っている先輩を目の前に、あたしはこくんと小さく頷いた。


「……は、何で? どうしてこんな子どもっぽい子がいいわけ!?」


こ、子どもっぽい?


「他の男と遊び歩いてるヤツより、ずっといいよ」

「っ……!!」


ピシャリと言い放った先輩に、女の子は悔しそうに下唇を噛む。そして、


「もういいっ……!!」


カアッと顔を赤くした彼女は、『フンッ』と言わんばかりに勢いよく踵を返した。