「その様子じゃまだみたいね。あ、それとも逆に経験済みだから赤くなってるとか?」
「っ、してないから!!」
茜ちゃんの考察に、思わず声を張り上げる。
するとそれはそれで現状を白状したことになり、茜ちゃんの思惑通りだったらしく、「へーえ」と面白がるように口角を上げられた。
「もうっ! で、何なの? 茜ちゃんこそどうなの?」
気を取り直してクレープを口に運びながら、話を茜ちゃんへと戻す。
あたしよりずっとずっと付き合いが長いわけで、もうとっくにキスなんてしてるんだろうけど……。
「私は……」
さっきまでのからかう様子から一転。深妙にも見える面持ちで、口を開いた茜ちゃん。
──だけど。
「待って、菜子……あれって」
あたしの向こう側。そのずっと先を見て、何かを見つけた茜ちゃんが、躊躇いがちに声をかけてきた。
何だろうと振り返って見てみると、
「なんで!? もうしないって言ってるじゃん!他の人の連絡先とかもう消したし……」
うちの制服とは違う、キャメルのブレザーに赤いチェックのリボン。
緩くウェーブのかかった長い髪の綺麗な女の子。
その子に必死に追いかけられている人は、
「は、隼人先輩……?」



