茜ちゃんの気持ちは素直にありがたい。
あたしのことを思って、心配してくれているのはよく分かる。
……だけど。
「付き合ってから知っていくのもアリなんじゃないかな? 結城くん、悪い人じゃなさそうだし……」
隣の席になってから、ほんの数日。
意識したことすらなくて、まだまだ知らないことばかりだけど、とにかく悪い感じの人じゃない。
だからあたしも付き合うことにしたんだけど……。
「あのね、菜子……」
ため息をもうひとつ吐いてから、口を開いた茜ちゃん。だけど言いかけた言葉は、それ以上続かなかった。
何故なら……結城くんが戻ってきたから。
「何の話?」
「え、いや……」
お手洗いにでも行っていたのか、最後の授業が終わってすぐ、席を離れていた結城くん。
戻って、急に会話をやめたあたし達を見て、不思議そうに首を傾げた。
茜ちゃんも、さすがに本人の前であたしにお説教は出来なさそう。
あ、そうだ、今のうちに……。



