中村くんに質問されて困っていたけれど、先輩に助けられたとは思わない。
むしろ中村くんの前にいた方が、気持ち的にはよっぽど楽だった。
あたしを迎え入れ、再び閉められたドア。
緊張して、胸元でキュッと拳を握りながらそっと前を見ると、望くんの姿。
目と目を合わせ、『どうしようね……』という顔をする余裕もなかった。
「ひめちゃん、迎えは大丈夫?」
しんと静まり返った部室に響いた、隼人先輩の声。
「あっ、はい! まだお母さんから連絡ないのでっ」
くるっと振り返って慌てて返事をすると、
「じゃあ、時間もないだろうから簡単に話すね」
ニコッと軽く微笑んで言った先輩の言葉に、ドクンと鼓動が跳ねる。
きっと間違いなく、何をしていたんだと怒られる。
そう悟ったあたしは、無意識のうちに先輩から目を逸らす……けど。
「あの時、バランス崩したひめちゃんを支えてただけって言うなら、俺はそれを信じるよ」
目の前から聞こえてきた言葉に耳を疑って、思わず顔を上げた。



