すっぽりと覆われた身体。
温かくて、体操服の柔軟剤の匂いだろうか。ふんわりと優しい良い香りがする。
ドクドクと強く鼓動を打っているのは、あたしの心臓?
それとも……望くん?
分からないくらい緊張して、余裕がなくて。
でも……このまま、離れたくない。
込み上げる気持ちのままに、あたしもそっと望くんの身体に腕を回そうとした……その時だった。
「じゃあさ……」
物音ひとつしない静かな部室の中、望くんが声を上げ、あたしはピタッと手を止める。
だけど、その言葉の続きはなかなか聴こえてこない。
「望くん……?」
どうしたんだろうと、顔を上げた瞬間──……。
「ひめちゃん、だいじょ……」
「っ!?」
ガチャッと音を立て、突然開けられたドア。
入ってきたのは……隼人先輩。
あたし達は咄嗟にパッと離れたけれど、先輩は少し驚いた様子で立ち尽くしている。
ど、どうしよう……見られちゃった!?
「あ、あの、違うんです! バランス崩しちゃって、望く……結城くんは、支えてくれてただけでっ」
苦しすぎる言い訳。
でも、昨日言われたことを考えると、望くんと抱き合っていたなんてマズすぎる。
だってこれじゃ、本当に不純な理由でマネージャーを引き受けたみたいだ。



