「うん、それを……」
「ほら」
お願いしますとあたしが言うより先に、望くんは中村くんに差し出していた。
「え、なに、俺に行けって?」
「他にどーゆー意味があるんだよ」
「えー……せっかくだからもうちょっとサボらせ……って、分かったよ。分かったからそんな怖い顔すんなってー」
仕方ないなとばかりに苦笑しながら、中村くんは望くんの手からスクイズボトルのケースを受け取る。
「姫乃ちゃんのことになると、ほんとお前素直だよな。一応俺、協力してやってんだけど」
「協力……?」
睨みつけるような不機嫌な顔をする望くんに、中村くんが言った言葉。
どういう意味なのか分からず、あたしが首を傾げると、
「あ、協力っていうのはね……」
「いいから早く行けよ」
何だか少し焦った様子の望くんが、答えようとしてくれていた中村くんの背中を押した。
「はいはい、今さらそんな照れんなよー。じゃあ姫乃ちゃん、俺追い出されちゃったから続きは本人から聞いてね」
ニコッといつもの爽やかな笑顔を浮かべ、中村くんは「ごゆっくり」と、部室を出て行ってしまった。



