「苗字にちゃん付けしてるだけじゃん」
「お前が呼ぶとチャラいっつーか、何か軽いんだよ」
「はあ?」
突然の登場にびっくりして、目をパチパチさせるあたしをよそに、会話するふたり。
そんなあたしの様子に先に気付いたのは、中村くんの方だった。
「あ、ごめん。俺たち手伝いに来たんだ。ひとりだと大変でしょ?」
かけてくれた言葉に、そういうことかと理解して、素直に嬉しくなる。でも……。
「ふたりとも練習は? 抜けて来ちゃって大丈夫?」
「うん、ちゃんと部長に許可取ってるから」
「そっか……ありがとう」
ニコッと微笑んで返事すると、望くんとパッと目が合った。
何だか恥ずかしそうに顔を赤くする望くんに、あたしもつられて顔を赤くしていると、
「それで……何すればいいかな?」
「あっ、うん、えっと……」
「これ運べばいいんだろ」
中村くんの問いに答えようとするのを遮って、望くんがスクイズボトルの入ったケースを持ち上げる。
それは既に麦茶が入っているものだ。



