『好き』より先に、キミの『彼女』になりました。



あ、本当だ。麦茶作ってくれてる……。


「ちょっとだけ準備しておいた」という言葉の通り、ミーティングが終わった後に部室に行くと、麦茶の入ったやかんが並べてあった。

すぐ近くにはスクイズボトルも用意してあって、「ありがとうございます……」と、ひとり呟く。


昨日は急に帰ってしまったから後片付けはおろか、ほとんど何も出来ていなくて、色んな人に迷惑をかけてしまった。

だけど、誰ひとりとしてあたしを責める人はいなくて、むしろ心配して声をかけてきてくれて、有り難いとしか言いようがない。


部室の隅のテーブルに松葉杖を立てかけ、捻挫した足を庇うように片足に重心を置いて立つ。

せめて出来ることはあたしがやらなくちゃと、スクイズボトルに麦茶を移している……と、


「姫乃ちゃん」


部室のドアがガチャっと開き、そこからひょっこりと顔を出したのは、


「あっ、中村くん」


と……、


「気安く呼ぶなって」


中村くんの頭を手のひらで押さえつけるように言って現れた、


「望くんっ!?」