部活に戻ろうと背を向けようとした先輩に、お礼を言おうとしたあたしは、慌てて立ち上がろうとしてしまった。
その瞬間、当然のように痛みが走って倒れかけたあたしを、そばにいた先生が支えてくれた。
「もう、無理しちゃダメよ」
「ごめんなさい……」
恥ずかしさにシュンと沈む。
ちらりと先輩に目を向ければ、クスクスと苦笑していて。
そのまま一歩、二歩とあたしに近付くと、
「しばらくは無理しなくていいから。もし何かあったらいつでも連絡して」
柔らかく微笑んでそう告げた後に、
「さっきの話の続きは、また」
「っ……」
耳元でそう囁かれ、ビクッとしたあたしは、離れた先輩の顔を見る……けれど。
向けられた表情は、想像とは真逆。
怒っているはずなのに、なんで……どうして。
隼人先輩は笑って──……。