「よいっしょっ……」
放課後。他には誰もいない部室で、ケースに入れたスクイズボトルを両手に持つ。
麦茶を入れたそれをピッチまで運ぶのが、一番最初にする大切な仕事。
全部を一度には運べないから、何往復かする。
時々部員の男子達が手伝ってくれるけど、基本はひとり。
去年、上山先輩が1年生だった時には、三年生にもうひとりマネージャーがいたんだそう。
引退後も手伝いに来てくれていたらしいけど、卒業してその先輩がいなくなってしまってからは、上山先輩が一人でやっているらしい。
それこそ何人かマネージャー希望で入ってきたけど、思っていたより時間を拘束されることもあって、みんな長続きせずに辞めていったと言っていた。
一人で全部の仕事をすることに、上山先輩は『もう慣れちゃったから大丈夫』って、笑って言っていたけど。
やっぱり、かなり大変……。
上山先輩はすごいなぁと思いながら歩いていると、真剣な眼差しで基礎練をしている望くんが目に入った。
その姿に、あたしも頑張らなきゃ……と、ケースを持つ手の力を入れ直す。



