「望く……」
「わかった」
改めて平気だと言おうとしたあたしの声に被せて、望くんが返事する。
「今日は部活が終わったら、そのまま帰ろう」
「え、でも……」
「俺もちょっと休みたかったし、中村にもそろそろ勘弁してって言われてたとこだし」
そういえば……。
部活が終わった後、いつも望くんの自主練に付き合ってくれている中村くん。
『熱心なのはいいけど、たまには休ませろ』って冗談みたく、昨日言っていたっけ。
そんなことを思い出して黙っていると、「それに……」と望くんは続けて口を開き、
「菜子とゆっくり帰りたいし」
恥ずかしそうにそっぽを向いて言われた言葉に、顔がカアッと赤くなる。
「あー……はいはい、そういうのはふたりっきりの時にしてくれますかぁ?」
若干ふたりの世界に入ってしまっていると、それを壊すように呆れた顔をした茜ちゃんが声を上げた。
「そ、そういうのって……!」
恥ずかしさに更に顔を赤くして、あたしは否定しようとするけれど、
「あ、じゃあお熱いおふたりさんにこれあげる」
茜ちゃんは机の上の荷物をまとめながら、ファッション誌に挟んでいた2枚の紙切れをあたしに差し出した。
受け取って見てみるとそれは……アイスクリームの無料チケットだった。



