100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

「婚約者はいない。
 ただの許嫁だ。

 俺が産まれる前から決まってた話だ。
 相手が断ってくる可能性もあるから、今も有効かどうかは定かではない」

 そのあと、内藤は、自分だけ訊いては悪いと思ったのか。

 こっちが遠慮して訊かなかったことまで、ベラベラしゃべってくれた。

「学生時代から付き合ってた彼女が急に会いたいと言うんで、なにか嫌な予感がしながらも行ってみたら、案の定、フラれたんですよ。

 そろそろ結婚しようと思ってたのに」

「そ、そうなんだ?」

 こ、こんなとき、なんてコメントしたらいいんだ。

 あんた、モテるからいいじゃんってのも、いまいち慰めになってないし。

 うーむ、とあやめが悩んでいると、内藤が、
「でも、俺、フラれたの、お前のせいだぞ」
とあやめに向かって言い出した。