「いや、古川、専務にチョコあげたって言ってたし」
「いや、そういう言い方すると、バレンタインのチョコみたいなんだけど……」
バレンタインはまだ来てないぞ、と思うあやめの前で、内藤は言う。
「朝、エレベーターで古川に怒鳴られてたでしょう。
専務の顔は見えなかったんですけど。
古川が怒鳴ってるの、誰か付き合ってる男のようだ、と思って、古川の周囲を見回してみたら、専務しかいなかったんです」
それも悲しい話だな……と思うあやめの横で、基は違うところに引っかかってくる。
「お前、俺を怒鳴ってたのか」
「はあ。
扉閉まったので、まあ、いいかと思って」
一宿一飯の恩義どころか、ずいぶん専務のおうちでお世話になっているのに、怒鳴っては失礼だったかもしれないが。
ちょっと、なんというか、抑えきれない衝動が、とあやめが思っている間にも、内藤は、基にズバズバと訊いている。
「そういえば、専務は、確か、婚約者がいらっしゃるんでしたよね?」
「いや、そういう言い方すると、バレンタインのチョコみたいなんだけど……」
バレンタインはまだ来てないぞ、と思うあやめの前で、内藤は言う。
「朝、エレベーターで古川に怒鳴られてたでしょう。
専務の顔は見えなかったんですけど。
古川が怒鳴ってるの、誰か付き合ってる男のようだ、と思って、古川の周囲を見回してみたら、専務しかいなかったんです」
それも悲しい話だな……と思うあやめの横で、基は違うところに引っかかってくる。
「お前、俺を怒鳴ってたのか」
「はあ。
扉閉まったので、まあ、いいかと思って」
一宿一飯の恩義どころか、ずいぶん専務のおうちでお世話になっているのに、怒鳴っては失礼だったかもしれないが。
ちょっと、なんというか、抑えきれない衝動が、とあやめが思っている間にも、内藤は、基にズバズバと訊いている。
「そういえば、専務は、確か、婚約者がいらっしゃるんでしたよね?」



