車は助手席にいた男を降ろし、すごい勢いで走り去っていった。
男は道の側に立ち、ぼんやり、それを見送っている。
赤い車の急停車急発進のせいで、ゆっくり進んでいた基の車がその横を通る。
道端に突っ立ったままの男の顔が見えた。
「専務、止まってください」
と言うと、ああ、と言う。
あやめは窓を開けて訊いた。
「どうしたの? 大丈夫?」
「……拾っていこうか? 内藤」
そう横から基も言う。
急いで帰らねば、此処は会社から、ちょっと距離がある。
しかも、内藤は、明らかにフラれた男の様相を醸し出していたので、二人とも、つい、声をかけてしまったのだ。
男は道の側に立ち、ぼんやり、それを見送っている。
赤い車の急停車急発進のせいで、ゆっくり進んでいた基の車がその横を通る。
道端に突っ立ったままの男の顔が見えた。
「専務、止まってください」
と言うと、ああ、と言う。
あやめは窓を開けて訊いた。
「どうしたの? 大丈夫?」
「……拾っていこうか? 内藤」
そう横から基も言う。
急いで帰らねば、此処は会社から、ちょっと距離がある。
しかも、内藤は、明らかにフラれた男の様相を醸し出していたので、二人とも、つい、声をかけてしまったのだ。



