100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

 車は助手席にいた男を降ろし、すごい勢いで走り去っていった。

 男は道の側に立ち、ぼんやり、それを見送っている。

 赤い車の急停車急発進のせいで、ゆっくり進んでいた基の車がその横を通る。

 道端に突っ立ったままの男の顔が見えた。

「専務、止まってください」
と言うと、ああ、と言う。

 あやめは窓を開けて訊いた。

「どうしたの? 大丈夫?」

「……拾っていこうか? 内藤」

 そう横から基も言う。

 急いで帰らねば、此処は会社から、ちょっと距離がある。

 しかも、内藤は、明らかにフラれた男の様相を醸し出していたので、二人とも、つい、声をかけてしまったのだ。