100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

 



 田中さんじゃないだろうよ、と階段を下りていくあやめの足音を聞きながら、内藤は思っていた。

「いや、だったら、明日にすればいいじゃないですかっ」
と怒鳴ったあやめの口調はかなり強かった。

 女同士だと、逆に気を使うから、先輩に対して、ああいう口調にはならないだろう。

「男だな」
と内藤は呟く。

 あいつ、誰かと付き合ってるんだろうか。

 生意気な、と思ったとき、ポケットのスマホが震えた。

 見ると、メールが入っている。

 予想通りの内容に、溜息をついた。

 そのとき、ちょうど通りかかった、いつも一緒に社食に行っている人事の友人に、
「俺、今日、昼出るわー」
と言って、

「社食使ってくれよー」
と苦笑いされる。