100-3は? ~なにもかも秘密な関係~


 


「いや、だったら、明日にすればいいじゃないですかっ」
とあやめが叫んだときには、扉はもう閉まっていた。

 人の話を聞けーっ、と思って振り返ると、内藤が近くを歩いていた。

「……誰に話してるんだ?」

「え、えーと……
 田中さん」
と、とりあえず、敬語を使って怒鳴ってもおかしくない仲の良い女の先輩の名前を言ってみたが、内藤は、ふーん、という顔をしていた。

「お、お疲れ様ー」
とあやめが逃げるように下りの階段に向かうと、

「今、下りのエレベーターから降りてきて、なんで、下りの階段に行く」
と内藤が訊いてくる。

「ちょっと運動不足だからーっ」

 よく見てるな、探偵かっ、と思いながら、あやめは急いで、階段を駆け下りた。