100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

 此処は、緑あふれる空間に、木製のベンチやテーブルがあって、日当りもいい。

 自分で淹れなければならないが、壁際にカフェのような設備も整っているし。

 まあ、いろいろあるけど、いい会社だな、と思いながら、珈琲を手にベンチでぼんやりしていると、

「おつかれさまー」
と経理の佐藤典子(さとう のりこ)とあやめの同期の郁花(いくか)がやってきた。

「ちょうどよかった、あやめ。
 今日、ランチ行かない?」
と典子が言ってくる。

「あー、それが今日は――」
と言いかけたとき、エレベーターホールに向かう基はじめと本部長の姿が見えた。

 基がこちらを見る。

 朝のこともあるので、ぺこりと頭を下げたが、基は、そのまま行ってしまった。

「ほんっと、庶民は目に入らない、みたいな人だよねー」

 基の方を見ながら、典子は言ったが、郁花が反論する。

「そういうところがいいんじゃないですかー。
 ああいう人に、郁花、とかあの声で呼ばれたらとか思うと、ゾクゾクしてきませんかっ?」

 ゾクゾク……。

 するな。
 違った意味で、と思いながら、あやめは、ちょっと濃すぎる珈琲を飲む。