100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

「……眺めないこともないかもしれないが、基本ない」
と、自分でもどうしたいんだ? と思うようなことを言ってしまう。

 すると、あやめの機嫌が悪くなった。

「そうですか」
と言って、突然、次の階のボタンを押したようだ。

 降りるつもりのようだ。

 ……今、何故、機嫌が悪くなったんだ?

 俺は、なにかまずいことを言っただろうか。

 実は、俺に仕事中、自分を眺めていて欲しかったとか……?

 そんなわけないか、と思う基は、あやめが、今の話を、浜波のことだと思っていることに気づいてはいなかった。

「お疲れ様でしたー」

 投げやりに言って降りようとするあやめのセリフに、

 いや、まだ仕事、終わってないが……と思いながら、

「待て、あやめ」
と基はエレベーターの外に出かけたあやめを呼び止めた。