100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

「断りたい、という願いを聞いたからだ」

 この屁理屈(へりくつ)大魔王め~っと思ったとき、車は会社からちょっと離れた場所で止まった。

 ブティックなどが入ったビルの側の小道で、まだ近くの店が何処も開店していないので、人通りが少ない。

「気をつけて行けよ」
と言って、基はさっさと行ってしまった。

「あっ、ありがとうございました」
と頭を下げたあとで、あやめは気づく。

 はっ。
 専務が先に行ってしまった! と。

 上司より遅れてくるなという基の言葉を思い出し、慌ててヒールで走り出す。