100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

 



 まだ新車の匂いがするな、この車、と思いながら、結局乗っていると、前を見たまま基が、
「どこの車がいい?」
と訊いてきた。

「は?」

「一緒に店に行って試乗してみるか?
 それとも、店の者に家に来てもらうか?」

「なんのお話ですか?」
とあやめが問うと、

「お前の車を買う話に決まってるだろ?
 こんなときのために、もう一台いるだろ。

 買ってやる」
と基は言う。

「いや、あの、こんなときは、バスと電車で行けば……」
と言いかけるあやめの言葉にかぶせるように基が言った。

「断りたいのか。
 だが、断っても、願いはひとつ消えるぞ」

「なんでですか」