100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

「じゃあ、俺の車を貸してやるから。
 俺は別に遅れても構わないから、お前の車が直ったら、こっちに乗って行く」
と言う。

 え? 専務がこの車に?

 愛らしいサイズのピンクの車に乗って出社する基を思い浮かべた。

 妄想の中の基は、何故か見たこともないような笑顔だ。

 車のCMかなにかのように、嘘くさい。

 外に出たあやめが、おのれの可愛らしい車を見つめ、沈黙していると、
「冗談だ」
となにも冗談ではなさそうな口調で基が言う。

「他の車を貸してやる。
 裏のガレージにあるから乗っていけ」

「えっ?
 結構ですっ」

 裏にあるのは、確か、最初に此処に連れ去られたとき乗った黒塗りのデカい車と、ピカピカの外車だった。

「車が壊れたから、代車で貸してもらったといえ」

「あんな代車貸してくれるとこ、ありませんよねえっ?」
と訴えてみたが、説教される。