100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

「どうした?」

「すみません。
 エンジンがかからなくて」

「人を引き止めておいて、自分が出られないとは、笑うな」
と相変わらずの憎まれ口を叩きながら、基は運転席のドアを開け、中を覗き込んで来る。

 いや、ちょっとっ。

 あなたみたいな大きな人が上半身突っ込んできたら、狭いんですけどっ。
とあやめは座席にへばりつかんばかりになって、基の身体から逃げる。

 今日はいい天気だからか、基のスーツはちょっとお日様の匂いがした。

「かからないな」
と呟いた基は、車から出ながら、

「このままだと遅れるな。
 俺の車に乗れ」
と言ってくる。

「い、嫌です」