「行って来ます」
と使用人たちに挨拶をし、あやめが玄関を出ようとすると、後ろから来た基が、
「あやめ、乗せていってやろうか」
と言ってきた。
……あなたに、あやめと呼ばれると、どきりとしてしまうので、古川に戻して欲しいんですが。
それを頼んでも、ひとつにカウントされてしまうんでしょうね。
っていうか、100個叶ったら、なにが起こるんだろう、とあやめは今から戦々恐々としていた。
「途中で拾ったといえば大丈夫だろう。
同じ会社に二台で行くとか非効率的だとは思わないか?」
「いや、そうなんですけど……」
「そういえば、お前、週明けから、俺の秘書になるからな」
は?



