気持ちよく二人でお酒を呑んで、あやめたちは店の外に出た。
「あ、代行まだ呼んでませんでしたね」
とあやめが笑うと、
「いや、少しお前と歩きたいなと思って。
車だけ、誰かに持って帰ってもらおうか」
と基が言う。
「そんなこと言うと、高倉さんが現れて、すっと車消しちゃいますよ」
とあやめは笑ったが、車を見ても消えていなかった。
……一瞬のうちに消しそうだけどな。
もしや、見てるのが悪いのかな?
と思い、
「専務もこっち向いてください」
とあやめは基の顔の向きを変えようと、その顔を両の手で挟んだ。
基が赤くなる。
あやめも自分でやっておいて、照れてしまったが。
いきなり手を離すのもかえって恥ずかしいので、そのまま、当初の予定通り、基の顔を車とは反対側に向けさせた。
そして、あやめ自身も顔を背ける。



