いやいやいやっ。
 ちょっと言ってみただけなんですっ。

 すみませんっ、とあやめは慌てて止めようとしたが、高倉は聞いてはいなかった。

「あやめ様の望み、基様よりも多く叶えたら、きっと、なにかいいことがあるに違いないです。

 基様よりも私に、あやめ様がなにかいいことし……」

 居なくなってしまったので、あとは聞こえなかった……。