100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

「いや、これは単に、車で移動だからですよ。

 薄いコートだったら、そのまま乗ってもシートベルトが……」

 苦しくない、と言う前に、あやめは基のあのコートで身体を覆われ、後ろから抱きしめられていた。

 いつも嗅いでいる基の匂いに包まれる。

「そんな薄着をしてるから、俺に温めろと言ってるのかと思った」
と基は笑う。

 専務……。

 家に帰るとホッとすると言いましたけど。

 私は最近、家に帰らなくても、専務のいい匂いとか、体温とか感じるだけで、いつでもそこが家みたいに、ホッとするんです。

 そう思いながら、目を伏せたあやめに基が言った。

「あやめ。
 ……お前が許嫁でよかった」

 基の身体の温かさを背中に感じながら、あやめは言う。

「私もです」