100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

「道案内という名目で人間も運んでくれなくもなかったんですが、わたくしが来ました。

 神室基様のお住まいで働かせていただいております、高倉と申します」
と、いや、先に名乗れ、的な挨拶をした高倉が、ぼんやり、もこもこパジャマで立っていたあやめを黒塗りの国産車に乗せて、この屋敷まで連れてきたのだ。

 箸を持ったまま到着しなくてよかった、と思うこの豪邸に。

「……業者が梱包してる間、居たんだろう。
 何故、着替えなかった?」
とパジャマのまま運ばれて来たあやめを玄関で出迎え、基が眉をひそめる。

「はあ、すみません。
 隠れて着替えようにも、すごい人数のかたが、すべての部屋で梱包を始めてしまって」

 横から高倉が、
「掃除も業者がやるので、あやめ様は、もう戻られなくて結構ですよ。
 鍵だけご返還ください」
と言ってくる。

 はあ、とあやめは言った。

 賃貸マンション。

 老朽化で取り壊し。

 まだ行き先を決めてない、というショボイ話題がまったく似合わない豪邸を見回す。