「あとふたつだぞ、古川」
あの日、ホテルのパーティールームで、基はそう言ってきた。
いつの間にひとつ消えたのかと思ったら、今のマンションを出ろと言われている、という話を聞いて、
「じゃあ、うちに住むか」
と軽く基が言ってきたので、
「あ、そうですねー」
となにやら適当な返事をしたらしい。
それがひとつめの願いになってしまったようだ……。
スキーから帰った次の日曜日、いきなり、引越し業者が家にやってきて、なにもかも丁寧に梱包し始めたからびっくりした。
食べかけの朝食まで梱包してくれる勢いだった。
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