100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

 いつもの癖でか、
「高倉に」
と呟く基に、あやめは、

「よっ、呼ばないでくださいっ」
と叫ぶ。

「すぐその辺で、はいって言いそうじゃないですか」
「……そうだな」

 暗がりの、誰もいないはずの部屋の隅を二人で見つめる。

 基は電気をつけるのをやめたようだった。

 あやめは今夜たくさんのことを覚えた。

 専務の過去も気になるが、深く考えない方がいいとか。

 いろいろと聞かなかったことにする方が平和だとか。

 だって、余計なことに気を取られているうちに、今、目の前にいるこの人がいなくなったら嫌だから。

 基がその繊細な指先であやめの頬に触れて言う。

「此処まで来て逃げるなよ」