何故、程よく隣に寝室があって、ベッドが……?
ああ、専務の部屋なんだから、当たり前か、と思っているうちに、あやめはベッドに座らされ、基に手を握られていた。
「あやめ、雪山より冷えてるじゃないか」
「はあ、事態についていけてなくて……」
と顔面蒼白のまま呟くあやめの頬を基がそっと撫でてくる。
何故、あなたは振り切れるとそうなんですか。
いきなり積極的にならないでください、
と基を見つめることもできずに、幼子や猫が霊でもいるのかという感じで、あらぬ方向を見ているときのように、あやめは部屋の隅を見つめる。
そんなあやめを抱き締め、基は言った。
「あやめ、愛してる。
いつからかはわからないが」
たぶん、3つめぐらいまでは愛はなかったですよね……。



