こ、此処が専務の部屋か、とあやめは改めて部屋の中を見回した。
部屋が広いせいか、なにもかもがゆったりと配置されている。
なにか……落ち着く部屋だな、とあやめは大きな窓の外を見、部屋の中の調度品を見た。
特にあやめの目を引いたのは、少し色褪せた深緑色のソファだった。
「あれ、素敵ですね」
とあやめが言うと、基が、
「いいだろう」
と笑う。
「このソファ、年月を経れば経るほど、いい味を出しそうだなと思って買ったんだ」
これは、罠ですか!
とあやめは思ってしまう。
そんな私好みなことを言わないでくださいっ。
罠ですかっ、と思うあやめに基は言ってきた。
「なにか呑むか?」
と壁際の大きな飾り棚に向かい、基は歩いていく。



