少し前、あやめは一人、その部屋の前でウロウロしていた。
あやめの部屋から一番遠いエリアの廊下を歩いていたら、隣の部屋のドアから、ずいぶん距離が開いて、ドアがある部屋が隅にあったのだ。
角部屋で広そうだし。
もしや、此処が専務の部屋なのでは?
いや、意外と高倉さんの部屋だったり。
なんか優遇されてそうだし、
と思いながら、あやめはその前を行ったり来たりしていた。
専務とごく自然に出会えたらいいんだが。
『今日のお礼に私の部屋で一杯いかがですか?』
なんて、とか思ったあとで。
……なんか前も失敗したな、こういうの、と思う。



