あれだけラブラブなのに、何故、振られるという想定があるのだろう。
あやめの話を聞きながら、そう思っていた内藤は、あやめに訊いてみた。
「……何故、此処まで来て、振られると思う?
そして、お前はやっぱり、専務が好きなのか?」
すると、あやめは少し考えたあとで、
「うーん。
もともと専務は私の好みじゃないんだけど」
と贅沢なことを言い出した。
「言ったじゃない。
私、傷ついたケモノみたいな人が好きなんだって。
専務なんて、あんな若くして専務だし、イケメンだし、口調が冷たすぎるときもあるけど、実はやさしいし。
出来すぎてて、何処にもツボがないような……」
そうあやめが言ったとき、後ろで、どさりと音がした。
振り返ると、いつの間にか専務が専務室から出てきていた。
あやめの言葉に衝撃を受け、カバンを落としている。



