夜、あやめは同期のみんなと食事をするらしく、基はひとりで――

 というか、高倉に見守られながら、夕食をとっていた。

「お酒は召し上がられないんですか?」
と高倉が訊いてくる。

「いや、どうも酒を呑むとやらかしてしまうからな」
と呟くように言ったが、高倉は、

「あなたは少々やらかした方がいいですよ」
とやさしく言ってくれる。

 とんでもないことを言ったりやったりもするが、やはり、高倉は頼りになるな、と基は思っていた。

「ありがとう、高倉。
 お前がいなかったら、俺はあやめとのこと、一歩も進めていなかった気がする」

「ま、今も進めてないですけどね」
とグサッと来ることを平気で言ったあとで、高倉は言う。

「でも、行きつ戻りつ、ちょっとずつ近づいていくあなたくらいの方が、あやめ様にはちょうどいいと思いますよ」

「……ありがとう、高倉」