あやめ並みに阿呆なことを言ってしまった、と思いながら、内藤は廊下を歩いていた。
『秘書室の産業スパイ、お前ならよかったのに』
あやめが産業スパイならよかった。
だったら、あやめが専務に気がある風なのは、スパイとして、専務を籠絡する必要があるからだ。
……と思えるのだが。
まあ、あんな色気のないハニートラップはないと思うが。
実は、それが罠なのかもしれないし。
あの専務、あやめに引っかかったことから言っても、うちの前の彼女のようなお色気美女は好みでないと見た。
専務の好みに合わせて抜擢したら、ああいう女になってしまったと思えなくもなかったのだが。
あやめは何故かもともと専務の許嫁らしいから、そういう可能性はないのだろう。



