100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

 



 何故、今日は寒くないんだ……。

 そんなことを思いながら、基は青と白に染め上げられた街路樹を見上げていた。

 樹木に雪が降り積もって、月に青白く輝いているように見える。

 この通り一帯がそんな感じなので、まるで、人の分け入らない雪深い山中に居るかのようだ。

 ……ものすごい街中なのに。

 イルミネーションでぐるぐる巻きにされた街路樹を見上げる自分の背中側には、今は、静まり返って真っ暗なビルが立ち並んでいる。

 高倉は車をとめてくる、と言って行ってしまったので、三人でイルミネーションを見ながら歩道を歩いているのだが。

 この季節には珍しく、あまり寒くないので、この間みたいに、このコートであやめを温めてやることもできないし。

 ……第一、こいつが邪魔だ、と基は、あやめと二人、自分の前を歩く朔馬を見た。