100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

「素敵です」

 すると、今度は、後ろから、朔馬があやめの座る助手席に手をかけ、身を乗り出して言う。

「俺のコートはどうだ、あやめ」

「朔ちゃんは、そういう軽い感じのコートが似合うよね」

 恐らく、あやめは着心地が、という意味で言ったのだろうが。

 基は、軽いのは、コートじゃないんじゃないかと茶系のチェスターコートを着た朔馬を横目に見て思っていた。

 っていうか、あやめ。

 お前、実は、コートの似合う男なら、誰でもいいんじゃないか?
と基が思ったとき、

「あ」
と高倉が声を上げた。

「そういえば、この先の通り、確かライトアップしてありますよ。

 此処で曲がった方が朔馬様を駅まで送るのに早いんですけど。

 せっかくなんで、ちょっと通ってみましょうか?」