コートに関して大きな思い違いをしたまま、基は金曜日を迎えていた。

 都内のホテルで行われた同窓会は、仲間内だけで開いたものだったが、結構な人数が来ていた。

 基はその大人数の中でも目立つ男、朔馬の許に行き、その後ろ頭を羊羹の入った紫の包みで小突く。

 てっ、とグラスを手に他の仲間と話していた朔馬が振り返った。

神室(かむろ)っ」

「土産だ。
 あやめと俺から」
とその包みを渡すと、

「雨が降ったろう。
 俺の呪いの雨がっ」
と顔を近づけ、叫び出す。

 いや、快晴だったが、と思ったが、口に出すと、めんどくさいことになりそうだったので、黙っていた。