だが、どうにも気になっていたのだ。
さっきのあやめの一言が――。
『専務、今日はコート違うんですね』
旅行中は、いつもよりは恋人同士っぽくいられたかな、と思っていたのに。
いつの間にか、あやめの態度は旅に出る前の状態に戻っている。
あやめは旅行中、
『そのコート、素敵ですよね』
と何度か口にしていた。
まさか……。
こいつ、もしかして、俺じゃなくてあのコートが好きなのか?
いや、そんな莫迦な、と思いながらも、あやめが絡むと、どうにも自分に自信がなくなる基は、少し早足になって、エレベーターの前でボタンを押して待つあやめに追いついてみた。
幸い、まだ駐車場に他の人影はない。
基は、
「あやめ」
と呼びかけ、その手を握ってみた。
だが、ビクリとしたあやめは、即座に基の手を振り払う。
さっきのあやめの一言が――。
『専務、今日はコート違うんですね』
旅行中は、いつもよりは恋人同士っぽくいられたかな、と思っていたのに。
いつの間にか、あやめの態度は旅に出る前の状態に戻っている。
あやめは旅行中、
『そのコート、素敵ですよね』
と何度か口にしていた。
まさか……。
こいつ、もしかして、俺じゃなくてあのコートが好きなのか?
いや、そんな莫迦な、と思いながらも、あやめが絡むと、どうにも自分に自信がなくなる基は、少し早足になって、エレベーターの前でボタンを押して待つあやめに追いついてみた。
幸い、まだ駐車場に他の人影はない。
基は、
「あやめ」
と呼びかけ、その手を握ってみた。
だが、ビクリとしたあやめは、即座に基の手を振り払う。



