食べ物と暖房で温まりすぎたあやめは、今度は外に出たくなった。
さっきまで、雪山はもう嫌だと思ってたのにな、と思いながら、ワインを手に広いバルコニーに出ると、ライトアップされたゲレンデが綺麗だった。
「古川」
「はい」
反射的に返事をし、振り向くと、基が外に出てきていた。
基のつづきの言葉はすぐにはなく、なんとなく、二人で、一転して晴れた星空を眺めていると、ようやく基が口を開いた。
「この借りは必ず返す」
「いや、専務。
チョコレート一個ですから」
とあやめは言ったのだが、基は、
「いや、それだけじゃない」
と言う。



