あやめたちは、港でタクシーを降りた。
対岸には工場があって、その光が海にも映っている。
昨日の宿からの眺めもよかったが、こっちの方が工場なので、光が多い分、なんだかゴージャスな感じだった。
「昨日の夜景も風情があってよかったですけど。
これも素晴らしいですね。
知らなかったです。
こんな近くにこんな場所があったなんて。
幸せの青い鳥はやっぱり近くにいたんですね」
とうっかり言って、
「……連れていってやったかいがなくなるからやめろ」
と言われてしまった。
いや、旅とはまた別な感じなんですけどね、とあやめは苦笑いする。
「ちょっと歩こうか」
と基は言ってきた。
防波堤沿いを二人で歩く。
「寒いか? あやめ」
と基が訊いてきた。
大丈夫です、と言いながら、今は灯っていない江戸時代からあるという石の灯台の横を通り、海の側まで歩く。



