100-3は? ~なにもかも秘密な関係~

 自分より煩悩の固まりのような気がする高倉が、今だけは頭の中で、菩薩様のようになっていた。

 もし、今、誰かが此処にいて、はたから自分を見ていたら、すごく冷静に行動しているように見えたかもしれないが。

 心の中は、まったく、そんなことはなかった。

 そっと立ち上がり、あやめの顔の横に手をつく。

 いいんじゃないか?

 別にあやめは俺を嫌ってるわけではないようだし。

 そうだ。

 俺のことが嫌いなら、いくら俺が強引に出たって、あやめなら、光速より速く逃亡してるはずだし。

 いいんじゃないかな?
と思ってしまったが。

 ……でも、本当は、あのとき、お前にキスしたかったんだ、と思い出す。

 あの雪山で、お前が自分のチョコを俺の口に押し込み、微笑んでくれたとき。

 お前が内心、小鳥かなにかにエサをくれてやるくらいの気持ちだったとしても、俺はお前のやわらかな指が唇に触れただけで、中高生のようにときめいたんだ。

 あそこで堪こらえられたから、今がある気がする。