結局、あやめたちは、高倉とともに、部屋に戻った。
「実は、本部長から、急ぎの用事で専務に連絡を入れたら、つながらなかったとご自宅に連絡がありまして。
専務に急いで確認して、サインして欲しい書類があるというので、持ってきましたよ」
高倉は、あやめたちが、このまま旅行が続けられるよう、配慮して動いてくれたらしい。
……ありがとうございます、高倉さん。
っていうか、本部長から、その重要そうな書類を奪い取っ……
いや、預かってこられる高倉さんが凄いな、とあやめは思っていた。
基はひとり、和室に入り、高倉が預かってきた書類を確認し始めた。
まだカーテンを閉めていないので、部屋からは、街の灯りを映す暗い夜の海がよく見える。
あやめは高倉を見上げて言った。
「ありがとうございました、高倉さん。
なにかお飲みになりますか?」



