大浴場で、ほかほかになったあやめが、約束した時間に廊下に出て行くと、基はもう待っていた。 「すみません。 お待たせして」 と謝ると、 「いや、せっかくだから、もっと入っててもよかったんだぞ」 と基は言ってくる。 「いえいえ。 充分堪能しました。 大浴場に来てよかったです。 大浴場の露天からも、海見えましたしね。 専務のとこもですか」 と笑ってあやめが言うと、 「ああ。 そういえば、お前の海が見えますねーという声が聞こえてきたな。 誰と話してたんだ?」 と基が訊いてきた。