いい宿だなあ、と部屋に入ったあやめは思った。
ホテルに着いたときは、わりと普通な感じで、実は写真詐欺だったかっ、と思ってしまったのだが。
あやめたちが頼んだ部屋は、中が更に何部屋にも別れていて、調度品も素敵だった。
妄想旅行で、ほんとに来るつもりはなかったから、遠慮なく一番高い部屋に設定してしまっていたのだが。
結局、専務が払ってくれたので、申し訳なかったな、と思い、あやめはチラと基を見上げる。
だが、基はそんなこと、まったく気にする様子はなく、
「ほう。
いいマッサージチェアがあるじゃないか」
と言って、海を見ながら、マッサージチェアに癒されていた。
それにしても、と荷物を置いて、窓から海を見ながら、あやめは思う。
一番人気の、この海が眺められる露天風呂付きの部屋が急にキャンセルが出たので、押さえられたようなのだが。
……本当にキャンセルだったのだろうか。
タイミングが良すぎて、ちょっと怖い、と思っていた。



